Coherentがレーザデキャッピングの簡易化、高速化を実現

EasyMark LDは、レーザデキャッピングに必要なものをすべて備えた、手頃な価格の一体型ツールです。

2022年5月11日、Coherent

オプトジェネティクス(光遺伝学)

新登場のCoherent EasyMark LDは、コンパクトですぐに使えるコスト効率の高いツールで、高度なレーザデキャッピング(デキャップ)を従来よりも簡単に実行できます。この一体型システムは作業台に載せられるほど小型ですが、エレクトロニクス アセンブリ、マイクロチップ、半導体ICの加工方法を効率良く実行できる上に、高精度で回路を損傷させる心配もありません。スピード、機能、精度、経済性を兼ね備えたレーザデキャッピング装置は、大小さまざまな規模の開発ラボやQC/QA(品質検査/品質保証)ラボに恩恵をもたらしました。つまり、エンジニアがカスタムシステムを社内で自ら開発する必要がなくなりました。またEasyMark LDは、多くの導入実績があり、信頼性と生産性の実績を誇るCoherentのEasyMarkをベースにしています。

「回路のカプセル化」とは?

エレクトロニクス アセンブリ、すなわち電子部品を搭載したプリント基板(PCB)には、耐久性を高めるためカプセル化処理を施すことがあります。この処理にあたっては、完成した(電子部品をすべて取り付けた状態の)プリント基板を金型に入れた上に、液状のポリマー材料を流し込みます。その後、ポリマーが硬化してアセンブリを完全に密封するため、水や湿気、腐食性の化学物質の浸入をほぼ遮断することができます。衝撃や振動に対する部品の強度も高まります。

レーザが決定的な役目を果たす

時には、カプセル化した回路を取り外す、あるいは、ICチップやパワーエレクトロニクスアセンブリだけを個別に取り外すことが、必要となる場合もあります。たとえば故障解析や品質保証のため、偽造品検出、あるいはデバイスのリバースエンジニアリングの際にも、こうした作業が必要になるでしょう。その際は通常、回路にダメージを与えず、また高熱に曝露させることなく、カプセル化に使用した封入材料を除去することを目指します。こうすることで、デバイスを稼働させながら分析できる状態にするわけです。この加工方法は「デキャッピング(decapsulation=カプセル化解除)」、または略称で「デキャップ(decap)」と呼ばれています。

レーザは、非常にデキャップ向きのツールです。通常は、封入に使われる大部分の材料に吸収されやすい性質の光を放射する、ファイバーレーザを使用します。

ほとんどの場合、回路素子と配線を包む封入材料だけをわずかに残す形で、材料の大部分をレーザですばやく取り除きます。残った分は、このあと酸によって溶解させます。

レーザならこの材料除去を、機械的デキャップ処理よりもはるかに選択的かつ正確に実行できます。レーザを照射するたびに、わずか数ミクロン単位で樹脂を正確に除去できるため、繊細な構造物を破損させる手前で加工処理を停止させることも可能になります。レーザのパラメータを適切に選択すれば、配線や直接触れている材料に影響することなく、樹脂だけを最適な速度で取り除くよう調整することも可能です。

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ニーズを捉えたEasyMark

レーザデキャッピングシステムは、長年にわたって利用されてきました。市場に出回っているシステムは、確かに機能性には優れていましたが、多くのユーザーにとっては大型すぎ、複雑すぎ、高価すぎるという問題がありました。そのため、デキャッピングシステムの自力開発を余儀なくされるケースも珍しくありません。しかし、それには甚大な労力が必要になります。

EasyMark LDは大部分のデキャッピングタスクに対応していながら、手頃な価格、優れた堅牢性、使いやすさ、メンテナンスフリー性も実現しています。樹脂の熱特性に応じてレーザパルス長を変更できるなど、塔載している機能も多彩です。さらに、ビーム伝送光学系から照射されるレーザスポットは、デキャッピング作業用にサイズが最適化されています。こうした仕組みによって、デキャッピングをより迅速かつ効率的に、そして回路損傷リスクを抑えて実現できます。

ユーザー側から見ると、単純な形状や複雑な形状を組み合わせて手軽に除去パターンを作成することのできる、グラフィカルインターフェースが便利です。また、高解像度カメラを使用して彫刻領域を簡単かつ正確に配置できるほか、加工作業の監視や制御をリアルタイムで実行できます。

EasyMark LDは、高い化合物除去率を誇るレーザデキャッピング向けのターンキーソリューションで、配線や回路部品へのダメージもほとんどありません。また、セットアップや使用も簡単です。詳しくはこちらをご覧ください。

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