フォトニクスにかつてないスケールをもたらす、6 インチInP製造能力
Coherent は、高速半導体などの分野を対象に世界で初めて6 インチのInPを製造する、スケーラブルなウェハファブを始動します。
2024年12月9日 Coherent
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突然、InP(リン化インジウム)ウェハの未来がはるかに大きく開けたように感じます。InPウェハが、電気通信などの分野における高速フォトニックデバイスに対する、強力なソリューションであることは周知のとおりです。しかし、最新のマイルストーンはご存じでしょうか。
Coherent は最近、 テキサス州シャーマンとスウェーデンのイェルフェッラにある当社のウェハファブに、世界初の6 インチInPウェハ製造能力を確立したことを発表しました。.
この画期的な進歩により、新たな技術的進歩やメリットがもたらされます。特に素晴らしいのは、幅広い用途で広く使用されるデバイスの生産能力が4倍向上し、ダイのコストが60%低下することです。
全般的には、6 インチのInPウェハへの移行は、半導体業界における著しい進歩といえます。以下では、この移行のいくつかの主な理由について、詳しく説明します。
より大きなInPウェハがもたらすパラダイムシフト
費用対効果が高い。信頼性が高い。高速である。持続可能である。このようなハイレベルのメリットに加えて、当社の6 インチの最新製品のような、大きなInPウェハには、半導体技術の進歩だけでなくそれ以外の面においても重要となる、以下に示すいくつかの大きなメリットがあります。
生産能力の向上。ウェハが大きくなれば、ウェハあたりのデバイス数を増やすことができるため、ファブの全体的な生産能力を拡大して、AIインターコネクト、データ通信、電気通信、自動車、産業、民生などの成長市場で急増しているフォトニックデバイスの需要に対応することができ、競争力と収益性を高めることができます。
ダイコストの低下。Coherent は、6 インチウェハに移行することで、より大容量で効率的な自動化プロセスツールを活用することができ、フットプリントを拡大することなくファブの生産能力を向上させるとともに、ウェハあたりの人件費を削減することができます。そうした改善によって、ダイコストは60%以上低下します。
効率の向上。ウェハサイズが大きくなれば、均一性が高まり、その結果として歩留まりが向上します。また、ウェハ認証のような作業に要するダイあたりのオーバーヘッドコストも低下します。
将来の応用分野。6 インチのInPウェハの製造により、以下のような需要の高い分野を対象とした生産が可能となります。
- コヒーレントな光通信:多くの高速データ伝送で使用されています。
- データ通信トランシーバー:データセンターや通信ネットワークに不可欠です。
- AIインターコネクト:人工知能(AI)分野における新しいイノベーションや高まる需要に対応します。
- 高度なセンシング:民生エレクトロニクス、ウェアラブルデバイス、医療デバイス、自動車などの分野で使用されています。
- 6Gワイヤレス/衛星通信ネットワーク:InPウェハは、2020年代後半のワイヤレス技術において重要な役割を担うことが見込まれます。
より持続可能な選択肢。生産効率が高まれば、資源に与える影響は間違いなく改善され、サステナビリティも向上します。2023年のDeloitte社の調査によると、半導体業界では、製造の進歩(より大きなInPウェハなど)が、エネルギー強度の全体的な削減に役立つ可能性があるとのことです。
トランシーバーの未来における当社の役割
コヒーレントトランシーバーのような高性能製品は、マラソンランナーに似ています。数千キロメートルを疾走し、単一波長で800 Gbps (ギガビット/秒)の速度でデータを伝送します。そうした用途に対する需要は高まるばかりで、当社の専門知識、技術、製造能力も、その需要に応えるために統合していく必要があります。
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Coherent のInPフォトニック集積回路は、複雑な変調波形を符号化/復号化する高密度多重化システムに必要なレーザ波長をサポートします。最終的には、この機能により、これらの波長で長距離ネットワークを介して大容量データを伝送することなどができるようになります。
データ通信とAIの分野では、InPベースの外部変調レーザや高出力CW(連続波)光源レーザによって、非常に大規模なデータセンターや機械学習クラスタを対象としたトランシーバーソリューションの迅速な展開が可能になっています。このような用途に対する需要を急速に拡大させるためには、それに対応できるファブの能力が必要であり、6 インチウェハサイズへの移行は、それを可能にします。
高い品質、性能、市場投入までの時間、コストメリットは、200 G電気吸収変調レーザ(EML)、マッハツェンダー変調器(DFB-MZ)内蔵の200 G分布帰還型レーザ、100 G EML、シリコンフォトニクス分野向けの高速光検出器やCWレーザなど、新しい6 インチInPプラットフォーム上に移行するいくつかの既存製品を含む、Coherent の幅広い製品ポートフォリオ全体にわたる重要な柱です。
未来のイノベーションとニーズに歩調を合わせて
レーザ、検出器、エレクトロニクスの需要がさまざまな業界や分野で増加し続ける中、Coherent は、より大きなウェハサイズのメリットを全面的かつ最大限に活用するために、生産を3 インチInPから6 インチInPへと進化させる作業を進めています。
この重要な移行は、進化する市場の需要に対応するために不可欠であり、組織が競争上の優位性を維持するために役立ちます。数十年間にわたってトランシーバー分野を牽引してきた実績を持つCoherent は、今後もイノベーションと移り変わる市場需要に歩調を合わせ、パートナーとしてお客様の新たなニーズにお応えしていきますので、どうぞ安心してお任せください。