ソリューションの概要
医薬品における
多形体識別
はじめに
多くの医薬品有効成分(API)は多形性を示し、化合物のさまざまな形態や分子構造が、医薬品の有効性、安定性、バイオアベイラビリティに劇的な影響を与える場合があります。 これらの構造的変化は、製剤、保管、パッケージング、取り扱いのさまざまな段階で発生する可能性があります。 そのため、医薬品の製造においては、開発、製造、品質保証プロセス中の迅速で信頼性の高い多形体識別が不可欠です。
従来のソリューション
化合物の構造変化を観察するには、いくつかの方法があります。 ラマン分光は、「指紋」領域(200~1800 cm-1)の小さなバンドシフトを観察するために使用されますが、これらは官能基の微妙なシフトを反映しており、一部の多形では検出が困難です。 X線回折(XRD)法は、非常に定量的で明確な分析が可能になりますが、高価な機器と破壊的オフライン検査が必要です。 テラヘルツ(THz)分光は、分子や分子間の大規模な運動に対応する信号であるため構造変化を容易に識別できますが、THz分光は、分光範囲が十分でなく、高価で、特別なサンプルの準備が必要な場合があります。
Coherentのソリューション
Coherent THz-Raman®システムは、従来のラマン分光の範囲をテラヘルツ / 低周波数レジームに拡張し、分子間構造と分子内構造の区別を明確に示すことができます。 また、THz-ラマンスペクトルは、原材料、合成経路、汚染物質の区別に使用でき、偽造品検出や保証検査に役立ちます。 アンチストークス信号がラマン強度に加算され、SNRが向上します。 Coherent THz-Raman®システムは、化学的な識別のための完全なラマン「指紋領域」を保持しながら、迅速かつ明確な多形の差別化を提供します。
適用分野
THz-ラマン分光を用いた多形体識別およびスクリーニング。
* データ提供 : 国立医薬品食品衛生研究所医薬品部、小出達夫氏。
図1 : THz-Ramanは、原薬や錠剤の医薬品有効成分(API)と賦形剤をスクリーニングするための感度と信頼性の向上を実現します。
図2 : 明確に区別できるピークを示すさまざまなAPIの多形のTHz-ラマンスペクトル*。