お客様事例

E&R: Monacoフェムト秒レーザを使用した先進のウェハスクライビング

課題

E&Rエンジニアリングコーポレーション(本社:台湾、高雄市)は1 mmに満たない微細なダイを個片化できる次世代スクライビング装置を開発したいと考えていました。 E&Rでセールスおよびサービスマネージャーを務めるケヴィン・チャン氏は次のように述べています。「ロジックチップの小型化が進むにつれて、スクライビングプロセスに対する技術的な要求がますます厳しくなっています。 当社のお客様は、ストリート幅を広くせずに1枚のウェハから数千個のダイをダイシングすることを要望しています。 したがって、スクライビングプロセスは、歩留まりに悪影響を及ぼす熱損傷や物理的損傷を、高密度で集積するダイに与えないように、正確で比較的影響の少ないものにする必要があります。 その一方で根本的な経済状況により、高いスループット速度も要求されます」。

E&Rは、1994年の創業以来、半導体やLED、パッシブコンポーネント、医療機器など、さまざまな業界に高性能な自動化装置を提供してきました。 米国にサービスセンター、東南アジアに数か所の拠点を置き、レーザ加工機を中心としたハイエンドマシンを提供するグローバルサプライヤーとして確固たる基盤を築いています (他にも、プラズマ処理やパンチプレス機など、さまざまな技術を保有しています)。 

E&Rの最初のレーザ装置はマーキング用でしたが、今日ではドリリングや切断、スクライビング、溝加工など、あらゆるマイクロマシニング用途に対応しています。 これらの装置には、UVからIRまでの波長を持ち、ナノ秒からフェムト秒までのパルス特性を備えたCoherentレーザおよびPowerLineレーザマーカーが多数あります。 

ソリューション

全体的な厚みに加え、素材も多様であるため、複数素材のウェハのダイシングは通常2段階のプロセスで行っていると、チャン氏は述べます。 チャン氏はこう付け加えます。「最初のステップではウェハの裏面の金属(銅)をある種のレーザで正確に切断します。 ここで非常に重要なのが熱影響部(HAZ)です」。このスクライビングのステップ後、2番目のプロセスで前面からウェハの大部分を切断するのだと、チャン氏は説明します。 ダイヤモンドソーブレードはこのための標準的な主力機器でしたが、ダイが小型化したことで、プラズマエッチングのような形成技術が求められる場面が多くなりました。

熱影響部(HAZ)は、レーザ切断やスクライブに隣接し、材料が何らかの方法で熱的に変化する(溶解、変形、燃焼などが発生する)領域です。 ロジックチップをダイシングする場合、主なリスクはHAZが回路に損傷を与え、その機能が損なわれることです。 幸いなことに、波長の短いレーザパルスを使用することで、レーザのパルスエネルギーの大部分は、周囲の基板に流れ込む前に、アブレーションされた材料に照射されるため、HAZの領域を最小限に抑えることができます。

そのため、E&Rにとっての大きな課題は、最新の小型ダイを加工するにはどのようなレーザを使用すればよいかということになりました。 これまで、機械メーカーは、赤外線ナノ秒ファイバーレーザやグリーンナノ秒ファイバーレーザのような高いスループットを備えたレーザか、超短パルス(USP)レーザのような超低HAZのレーザのどちらかを選択せざるを得ませんでした。 この用途に最適なレーザはピコ秒パルス幅を持つUSPレーザでしたが、ダイの小型化が進み、HAZのさらなる縮小化が求められるようになると、フェムト秒レーザの必要性が生まれました。

しかし、従来のフェムト秒レーザには、出力に限界がある、信頼性や寿命に懸念がある、ワットあたりのコストが高すぎるという3つの欠点がありました。 Coherentの最新型のMonacoレーザは、パワースケーラブルなファイバー技術により、コンパクトで堅牢なパッケージに60ワットの高出力を収めることで、これら3つの問題を解決しました。 E&Rでは、入念な評価を行ったうえで、20 Wまたは30 WのMonacoモデルが選択できるWB-300FGSのような次世代ウェハスクライビング装置を提供することを決定したと、チャン氏は説明しています。 

成果

Coherent Monacoレーザがすでにもたらしている成果に、E&R、そして何よりもE&Rのお客様が非常に満足していると、チャン氏は述べます。 チャン氏は、E&RのWB-300FGSマシンがガルボスキャニング技術を用いてレーザ切断速度を最大化している点を強調しています。 Monacoが高出力と高い繰返し周波数(最大50 MHz)の組み合わせを実現したことで、この特徴を最大限活かすことが可能になり、搭載されているツールは最大5 m/秒のシングルパススクライビング速度で動作します。 注目すべきは、これらの装置が非常に高い精度(3 µm)を実現し、非常に狭いソーレーン要件を満たしつつハイエンドのウェハを処理できる点です。

チャン氏が最も重要な2つのパラメータとして挙げているのが、短いパルス幅と優れたビーム品質です。 これらの特徴により、E&Rの新型装置は、30ミクロン未満の幅のシングルパススクライブと、30~60ミクロンレンジのマルチパススクライブを難なく実現しています。

チャン氏は最後に「高価値のウェハのマイクロマシニング用途において、当社は、革新性と高い性能を備えた最高品質の装置を提供するサプライヤーとして高い評価を得ています。 そしてMonacoもこれらの分野すべてで確実に成果をあげています」と結んでいます。

 

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「当社は、革新性と高い性能を備えた最高品質の装置を提供するサプライヤーとして高い評価を得ています。 そしてMonacoもこれらの分野すべてで確実に成果をあげています」

— E&Rエンジニアリングコーポレーション(台湾、高雄市)、セールスおよびサービスマネージャー、ケヴィン・チャン氏


 



図1. HAZをごくわずかに抑え高品質のエッジを形成するMonacoレーザ。 画像提供:E&Rエンジニアリングコーポレーション

 

Figure 2

図2. E&Rが提供するWB-300FGS装置。20 W/30 WのMonacoフェムト秒レーザが選択可能。 画像提供:E&Rエンジニアリングコーポレーション

 

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