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先進レーザ技術で量子の謎を解く

科学の発見は、特に量子力学の領域においては、宇宙に対する私たちの理解を飛躍的に拡大する重大な発見によって推進されます。マックス・プランクの量子論はこの分野の誕生の基盤であり、量子力学の土台を築いてきました。それは原子と亜原子現象の探究に不可欠ものでした。 

現在、カリフォルニア工科大学のシェー研究グループの研究主宰者であるデビッド・シェー博士は、この旅路の最前線で、強相関電子系の複雑な相互作用を解き明かす量子材料の研究を行っています。シェー博士の研究は、これらの相互作用から生じるエキゾチックな現象を理解する上で、著しい進歩をもたらしました。この革新的な研究の中心にあるのは、Coherent Astrellaレーザの使用です。このレーザはシェー博士の研究の成功に 不可欠なものです。これによって彼とチームは、前例のない精度と正確さで量子材料を徹底的に探り、操作することができたばかりでなく、シェー博士はこれまでにない多用途性を実現したのです。レーザの多用途性をさらに詳しく調べるにあたり、シェー博士はこう語りました。"このレーザはすべて私のラボで使用しています。これは共有される機器ではありません… 私たちのラボにはさまざまな助成金による資金調達を受けたプロジェクトが いくつかあり、そのそれぞれに異なるタイプの探究が必要とされますが、多くは この同じレーザが原動力となっています。"

 

強相関電子系の先駆的探究

シェー博士の研究は量子材料、特に強相関電子系として知られる材料に焦点を当てています。これらの材料は電子間の強い相互作用によって特徴付けられ、古典的な説明に立ち向かう集団的な挙動を引き起こします。シェー博士の研究の最も重要な部分は、電子間の強い相互作用によって絶縁する材料の分類であるモット絶縁体を中心とするものです。モット絶縁体は高温超伝導体と密接な関係があり、反強磁性秩序のような魅力的な磁気特性を示します。 

シェー博士のラボは、先進レーザ技術を使ってこれらの材料の微視的特性を理解し、主にハバード励起子として知られるタイプの準粒子に焦点を当てて、これらのシステムにおける電荷とスピン間の相互作用を探究しようとしています。クーロン力で結合する従来の励起子と異なり、ハバード励起子は磁気の相互作用によって結合し、量子材料の挙動に関する新たな洞察を与えています。

 

反強磁性モット絶縁体におけるレーザ駆動の発見

シェー博士は「フォトドープされた反強磁性モット絶縁体におけるハバード励起子流体」と題された最近の論文で、Astrellaレーザを使用してモット絶縁体におけるハバード励起子の複雑なダイナミクスを探究しています。1 この研究は、安定したハバード 励起子の存在に実験的証拠を与えるものであり、多くの理論的予測をテストするためのプラットフォームとしての役割を果たすことができます。シェー博士のチームは、時間分解テラヘルツ分光法を活用して、ハバード励起子のユニークなスペクトル指紋を識別し、その結合メカニズムと可能性のある未来の材料応用を明らかにしました。この論文は量子材料の分野に著しい進歩をもたらし、これらのエキゾチックなシステムにおけるスピンと電荷 の微妙な相互作用の研究に新たな道を切り開くとともに、Astrellaレーザの洗練された性質も明らかにしています。

シェー博士の研究で頻繁に使用される主要な技術のうちの1つがポンププローブ分光です。この手法は、同期された2つのレーザパルスを使用します。1つは材料を励起するもの、もう1つはそれをプローブするためのものです。超短パルスと高い磁場強度をもつAstrellaレーザは、これらの実験の成功に不可欠です。これらのパルスによって、シェー博士のチームは、材料が熱平衡から大きく脱却したときに何が起こるかについて探究し、フェムト秒やピコ秒という時間尺度で、電子や格子振動などのダイナミクスを解明することができます。このレーザの並外れた性能は、研究対象となっている微妙で過渡的な現象を、最高の精度で捉えることを保証します。

Coherent Astrellaレーザは、シェー博士のラボにおいて欠かすことのできない研究ツールであることが証明されました。安定した高強度のパルスを長時間にわたって生成することができるその能力は、精度が最重視される彼のラボで行われる長期間の実験において絶対的に不可欠です。"Astrellaレーザの堅牢性と安定性によって、環境変化による影響を最小限に抑えながら量子の領域を探究することが可能となり、私たちの研究結果の正確性と再現性が保証されます"とシェー博士は語ります。 

特筆すべきは、彼のラボで(クリスマスを除いて)55,000時間以上連続で使用したことで証明されるように、Astrellaレーザは並外れて信頼できるものだということです。それは、このレーザの卓越したエンジニアリングを証明する驚くべき成果です。この長期的な信頼は、シェー博士の研究にとって非常に重要です。というのも、これによって複数のプロジェクトが途切れることなく進行し、そのそれぞれが、量子材料科学のフロンティアを押し進めることができるからです。

 

参考文献: 
  1. Mehio, O., Li, X., Ning, H. et al. A Hubbard exciton fluid in a photo-doped antiferromagnetic Mott insulator. Nat. Phys. 19, 1876–1882 (2023). https://doi.org/10.1038/s41567-023-02204-2 

 

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「信頼は常に第一の課題です。そして、Astrellaレーザの堅牢性は私たちにとって非常に魅力的なものでした… 長期的信頼を得ながら高いパフォーマンスを維持することは、間違いなく私たちの実験の成功への鍵となります。"

— デビッド・シェー博士、ドナルド・A・グレイザー物理学教授;物理学担当執行役員兼シェー研究グループの研究室主宰者

 


 

 

 

金属へのハイコントラストレーザマーキング

同僚のヴィヴェック・パリーク博士とともにAstrellaシステムについて研究するデビッド・シェー博士

 

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