イッテリビウムレーザ

イッテルビウムレーザとは?

イッテルビウムレーザには、他の利得材料にない優れた利点がいくつかあります。 このレーザはスラブまたはディスクレーザとして作成されることもありますが、主な利点は、理科学や材料加工用途のウルトラファーストレーザの出力を持つファイバーレーザとして作成されたときに発揮されます。

イッテルビウム(Yb)レーザは、イッテルビウム(Yb3+)イオンをドープした母材を利得媒質とするレーザです。 母材にもよりますが、1030~1070 nmの近赤外光を放射します。 モードロックされたYbレーザの場合、この近赤外光は、周波数を効率的に2倍または3倍にでき、緑色と紫外線の波長を放射することができます。 このモードロックされたレーザは、波長の長さを変えて出力するために、パラメトリックデバイスの励起用として使うこともできます。

Ybレーザの4つの主な利点

イッテルビウム(Yb)レーザの主な利点は次の通りです。

  1. モードロックしてフェムト秒(fs)のパルス幅で出力できます。 これによって生成される高いピークパワーのため、fsパルスは、神経科学における最先端の用途だけでなく、高度な材料加工の用途にも適しています。
  2. ファイバーレーザとして製造できるため、要求の厳しい産業環境でも操作が簡単で信頼性に優れています。
  3. 他のどのfsレーザよりも出力を大きくすることができます。 これにより、神経科学では、より明るい画像とより高速な多光子励起が可能になり、そして、たとえばステントなどの医療機器では、精密切断でより高いスループットが提供されます。 
  4. 他のウルトラファーストレーザよりも電気効率が高いです。 これにより、持続可能性が高く、環境に優しい製造方法に対応することができます。

ここで、このような利点を技術的な面からより詳しく見てから、代表的ないくつかの用途にどのような影響を与えるかを見てみましょう。

 

いくつかの「ライトな」技術的な説明

モードロックによって短いパルス幅と高いピークパワーを実現

モードロックは、レーザに非常に短い幅のパルスと非常に高いパルス繰返周波数を発生させる方法です。 これにより、連続発振レーザで生成されたすべての光が、レーザ共振器の周囲を循環する非常に短いパルスに変換されます。 パルスが部分反射出力ミラーに跳ね返るたびに、わずかに減衰していきます。 したがって、レーザは共振器の往復時間に対応するパルスレートを自然に生成します。 レーザ共振器の長さが数十センチ以下の場合、これは数十MHzの繰返周波数に相当します。 

一方、パルス幅は「利得バンド幅」と呼ばれるレーザの波長の広がりに依存します。出力が広いほどパルスは短くなり、逆もまた然りです。 Ybの広いバンド幅は、これらのレーザがギガワット領域のピークパワーで、50 fsの短いパルスを出力できることを意味します。

ファイバーアーキテクチャにより、信頼性と出力の拡張性を実現

ファイバーと出力のスケーリングは密接に関連しています。 どの固体レーザにおいても、レンズの問題や損傷を引き起こす可能性のある利得材料から不要な熱を取り除くことが課題となります。熱は、抽出のために材料の端部(表面)に伝導的に流れる必要があります。 これによって、バルク結晶に基づく固体レーザの最大出力が制限されます。 しかし、利得媒質がファイバーに引き伸ばされたり、ディスクに圧縮されたりすると、利得媒質のすべての部分が冷却面の近くにあり、冷却に関する考慮事項によって出力のスケーリングは制限されることはありません。

Ybの大きな利点は、ファイバーとしてもディスクとしても形成できるガラスに対して母材として利用できることです。 ただし、ファイバーレーザには、オプトメカニカルに堅牢で、アライメントから外れないという利点があります。Coherent MonacoのようなYbファイバーレーザがフェムト秒レーザの新しい出力基準となり続けているのは、このような出力の拡張性のためです。 そして、その固有の信頼性が、多様で要求の厳しい用途で使われている理由です。

半導体レーザの効率的なレーザ励起により、二酸化炭素排出量を低減

Ybレーザは、次の2つの理由から、他のいくつかの固体レーザよりも電気効率が高いです。 まず、電気を光に変換する半導体レーザは、Yb添加のファイバーを直接励起するために使用され、全体的な電気効率を低下させる可能性のある中間ステップはありません。 さらに、半導体レーザの励起の波長(976 nm)とYbファイバーの出力波長(1030~1070 nm)の差という比較的小さな量子欠陥があります。 量子欠陥で表されるエネルギーは熱として失われるため、このような小さな値は非常に望ましいです。

イッテルビウム(Yb)レーザによる2光子光遺伝学的光刺激

Ybレーザの用途

モードロックのYbファイバーレーザの用途範囲は、その出力レベルと出力波長(IR、グリーン、UV)に依存します。

マルチフォトン神経科学

平均出力が数ワットの低出力レーザは、主に理科学用途で使用されます。 ここでは、Ybレーザを光パラメトリックオシレータ(OPO)とワンボックス形式で統合し、波長の長さを変えて出力することができます。 その一例がChameleon Discovery NXです。 波長の長さを変えて出力できるレーザの最大の用途は、神経科学、生体画像、リアルタイム(手術内)生検へのトランスレーショナルリサーチ向けの高解像度3D画像を提供するマルチフォトン顕微鏡です。 

高出力(数十ワット)の増幅されたYbレーザには、Monacoシリーズがあります。 赤外線のバージョンは、理科学と産業の両方の用途に役立ちます。 理科学の主な用途は神経科学で、その用途では、Monacoはわずか50 fsのパルス幅を発生するOpera Fのような調整可能な光パラメトリック増幅器と組み合わされます。 波長可変出力は、3光子のイメージングと2光子のオプトジェネティック光刺激の両方に使用されます。 Monaco 1300では、2つの固定波長出力(1035 nmと1300 nm)が非線形光学によって費用対効果よく作成され、これらの用途に最適化されています。

精密材料加工

工業的にパッケージ化されたMonacoシリーズによって、fsレーザ加工独自の利点が、ますます多様化する精密製造の用途で活用されています。 赤外線モデルであるMonaco 1035は、ガラスの切断や溶接、薄膜/フィルムの切断、医療機器製造(ステント、TAVRツールなど)といった用途に対応しています。 

Monaco 517モデルはグリーンのレーザを出力しており、用途として、ポリマー切断やドリリング、フレックスPCB、ICパッケージの切断、シリコンウェハのダイシング、医療機器の製造、金属箔の切断、テクスチャリングなどの材料加工に適しています。

Monaco UVの345 nmは紫外線の波長で、フレックスのコンポーネントの材料加工や、周辺の熱影響を受けないさまざまな材料の切断に使われます。 有機ELモジュール、半導体ウェハ、薄膜、金属箔、ディスプレイタッチセンサー。

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