レンズ

レンズとは

レンズとは、透明な材質から作られた、1つ以上の曲面を持つ光学部品です。主な機能は、伝送された光線を収束または発散して屈折させる(方向を変える)ことです。レンズの用途は非常に多様で、眼鏡、カメラ、自動車用ヘッドライト、レーザシステム、バーチャルリアリティ用ゴーグル、光ファイバーネットワークなどに使用されています。

レンズとは、ガラス(可視光用)やZnSe(赤外放射用)など、屈折を通じて光を操作するさまざまな透明の材質から作られた基礎的な光学部品です。光線がレンズを通過するにあたって、この相互作用が伝搬の方向を変更し、光を収束または発散させます。

凸凹、あるいはより複雑なものなど、形状にかかわらずレンズは光に特定の影響を与えます。通常、この影響とはイメージングやビーム集束のために光線を1か所に集めるか、強度を弱めたり視野を拡大したりして光線を発散させることを意味します。光を方向付け、集中させるこの独自の能力があるからこそ、単純な虫眼鏡から高度な科学機器の複雑な組み立てまで、多様な光学デバイスにおいてレンズは必要不可欠な部品なのです。

 

レンズの基本的な作動原理

レンズは、光がとある素材から異なる屈折率を持つ別の素材へと通過する際に発生する光学現象である屈折を使用します。素材の屈折率は、その素材を通過するときにどの程度光の「速度が遅くなる」かを示しています。具体的に言うと、屈折率とは「真空での光の伝播速度」を「物質中の光の伝播速度」で割った値です。

光線は「速度が遅くなる」と、素材に入った角度から、表面に対して垂直以外の角度に方向を変えます(歪曲または屈折)。光の方向が変更される度合いは、光が2つの媒体の境界に当たる角度と、それらの媒体の屈折率によって異なります。この関係性は、図で示した「スネルの法則」という方程式によって表されます。

 

lenses-figure-1.jpg

とある素材から別の素材へ移動する光線の屈折(方向の変更)は、スネルの法則と呼ばれる単純な方程式で計算できます。曲面では、その面に垂直な想定線の方位は位置によって異なります。つまり、光線が屈折する角度も位置によって変わりますが、常にスネルの法則に従っているということです。

 

スネルの法則は光が屈折する方法を説明するだけでなく、レンズの設計や機能を実証してもいます。光学エンジニアは特定の曲率を持つレンズを設計して、レンズを通る光の経路をコントロールし、さまざまな用途に応じて光線を集中または屈折させます。このように光を操作する機能は、光学技術およびさまざまな科学的応用、日常の使用に必要不可欠です。

 

一般的なレンズの種類

レンズの種類は多様ですが、その多くはいくつかの大まかなグループに分類できます。もっとも基本的な分類方法は、各面が凸か凹かです。凸面は外に向かって曲がっているか膨らんでおり、凹面は内に向かって曲がるか引っ込んでいます。

図に示すとおり、3面の形状(凸、凹、またはフラット)には6通りの組み合わせがあります(少なくとも1つは曲面であることを想定した場合)。この組み合わせにより、端より中央の方が厚いレンズができあがった場合、これは正のレンズとなります。正のレンズは光を集束します。

中央より端の方が厚い場合、これは負のレンズとなります。負のレンズは光を分散または発散させます。

 

lenses-figure-2.jpg

6つの標準的なレンズの形状を示します。正のレンズは光線を焦点に収束させます。負のレンズは光線を発散させます。

 

レンズの形状

次の特徴(表面が凸か凹か以外の特徴)は曲面の形状です。つまり、各面が球面、非球面、シリンドリカル、または自由曲面などの複雑なもののいずれかということです。詳しくは次の図をご覧ください。

 

lenses-figure-3.jpg

レンズの各面は球体の一部、非球面形状、シリンドリカル、あるいはフラット(平面)となります。

 

なぜこれほど多様な形状のレンズが必要なのでしょうか? 1つの理由は、球面レンズがすべての光線を1つの焦点に収束させるという先ほどの話は、完全に正しいわけではないからです。実のところ、平行の光線が球面レンズと接触した場合、レンズの端に入る光は中央に入る光よりわずかに近い点に収束されます。つまり、光線は完璧な1点に集中するのではありません。「球面収差」と呼ばれるこの問題は、イメージングシステムの解像度を下げ、非常に小さいスポットに焦点を当てるというレーザの機能を制限します。

 

lenses-figure-4.jpg

球面レンズはすべての光線をまったく同じ点に集中させないため、パフォーマンスが制限されます。非球面レンズならこの問題を回避できます。ですが、完璧な集光点を実現できるレンズはありません。ここでは示されていない回折の影響のためです。

 

この問題を解決する方法は2つあります。1つ目は、球面を持たない非球面レンズを使用することです。これらには球面収差がありません。

2つ目は、単一のコンポーネントを使用するのではなく、複数のレンズを組み合わせることです。複数の面を持つレンズシステムを作成すれば、光学設計者は球面収差や、パフォーマンスを制限するその他の収差を最小化することができます。

複数のレンズを組み合わせると、単一要素のレンズ(球面でも非球面でも)を使用した際に発生する別の問題にも対処できます。その問題とは、軸外の光を平面ではなく曲面に集中させやすいという傾向がレンズにあることです。多くのイメージセンサーは平面であり、材料加工技術でも平面に焦点を当てる必要があるため、この「像面湾曲」はよく発生する問題となっています。

 

lenses-figure-5.jpg

複数のレンズ要素を組み合わせると、像面湾曲を排除できるとともに、その他のさまざまな収差や性能の問題を修正することができます。

 

シリンドリカルレンズは、球面および非球面と同じように作用しますが、一次元のみにとどまります。つまり、正のシリンドリカルレンズは光を1点に集中させるのではなく、線に集中させるのです。

 

lenses-figure-6.jpg

一次元にのみ集中するシリンドリカルレンズは、光線を形成するために使用されることがよくあります。

 

シリンドリカルレンズにはさまざまな用途があります。たとえば、レーザライン形成にも使用されています。パウエルレンズは一種の球面シリンドリカルレンズで、画一的な強度で光を分散するレーザラインを形成するよう作られています。また、多くの半導体レーザの非対称な出力を円形ビームに変換するためにも使用されています。

シリンドリカルレンズの要素はアナモフィックレンズでも広く使用されています。映画撮影技術では、ワイドスクリーンイメージを標準的なフィルムのコマまたはデジタルセンサーでキャプチャするために使用されます。アナモフィックレンズは広角を狭い記録媒体に集めることができるのです。幅の広いフォーマットはその後、映写やデジタル後処理の際に元の比率に戻されます。

 

レンズ材質

レンズは光を伝搬する材質から作られています。現在、多くの光学素材が使用されています。それぞれが特定の光学、機械、熱、そしてときには化学的な特性の組み合わせに基づいており、特定の用途のために選択されます。

光学特性は最も重要な決定要因であることが多く、レンズの材質選択の起点となることがよくあります。特に、伝搬範囲はしばしば主要な決定要因となります。望ましい波長を伝搬しない材質である場合、その材質からレンズを作ることはできないからです。

光学レンズは、可視光および近赤外線で動作する精密レンズ(レーザや装置など)として最も広く使用されている材質です。ZnSeはCO₂レーザレンズとして最も人気の高い材質で、その他の多くの赤外線応用においても使用されています。

プラスチックは消費者用アイウェアやコンタクトレンズに広く使われるようになりました。軽量で衝撃に強く、さまざまな形状にすることが可能で、比較的安価なためです。ですが、ガラスのレンズより傷がつきやすくもあります。ポリカーボネートと「CR39」と呼ばれるポリマーは多くの眼鏡に使用されており、「ハイドロゲル」はソフトコンタクトレンズの主な素材です。

Coherentは、単一のコンポーネントから複雑な複数の要素を含むシステムまで、特定の用途に合わせてFシータスキャンレンズIRサーマルイメージングレンズなど、さまざまな種類のレンズを製造しています。Coherent光学系製品の詳細はこちら。

 

無料相談を承っております。どうぞお気軽にお問い合わせいただき、お客様のご要望をお聞かせください。