レーザスキャニング

レーザスキャニングとは?

製品バーコードの読み取り、レーザライトショーの投影、自動車の溶接など、レーザスキャニングでは、レーザビームを表面上で単に移動させます。 レーザスキャニングは概念的には単純ですが、実際に使用される技術は非常に洗練されています。

私たちは、レーザスキャニングを頻繁に見かけます。 これは、小売店で買い物をするときに、商品のバーコードにレーザビームを当てる技術です。 しかし、レーザスキャニングはこれだけでなく、さらに多くのやり方で利用されています。 実際、スキャニング用途は非常に多様であり、大きく3つに分類すると便利です。

目的

加工方法

一般的な用途

データ取得とイメージング

レーザは、サイズ、形状、空間位置、空間方向、色、色のバリエーション、表面テクスチャ、化学組成など、物体の物理的特性について何かを決定するために使用されます。 

そのために、レーザビームを表面上で、またはボリューム内で走査します。 その後、投影されたレーザのパターンを画像化するか、または反射、散乱、蛍光などによる戻り光を検出して解析することで、目的の情報を導き出すことができます。

バーコード、QRコード、Datamatrixコードなどの読み取り。 

ベルトコンベア上を通過する製品の物理的寸法を測定し、規格外のユニットを特定します。 

景観に対してレーザビームを走査し、移動中の車両でLIDARを実施します。

ベルトコンベア上を通過する食品(エビやナッツなど)を画像化し、サイズ別に等級分けしたり、不適合品を特定したりすることができます。

歯や建物の内部などの実物を走査して、正確なコンピュータモデルを作成します。

レーザビームを顕微鏡から試料に照射し、試料上を走査して画像を構築する共焦点顕微鏡法 

メディカルイメージング向けの光干渉断層撮影(OCT) 

半導体ウェハ検査

データの書き込みと表示

レーザ光は、情報を表示したり、パターンや画像を生成したりするために使用されます。 

そのために、レーザビームは、強度を変調させながら表面またはボリューム内を移動します。 

レーザプリンターにおける回転する光導電性ドラムを横切る走査

レーザライトショーとサイネージ

建設および測量用のレーザアライメントゲージ 

材料加工

レーザは、空間的に変化する方法で、材料を物理的に変形(切断、溶接、アブレーション、溶融など)させたり、影響を与える(焼きなまし、色変化、加熱など)ために使用されます。 

これは、レーザビームを表面上またはボリューム内で強度を変調させながら移動させることで行われます。

マーキング 

溶接

切断 

彫刻

熱処理  

クラッディング(肉盛り)

ここに挙げた用途は、レーザスキャニングのほんの一例に過ぎず、技術的要件は多岐にわたります。 これには、スキャニング速度、対象となる領域やボリュームのサイズ、必要なレーザ出力、スキャナーのコスト、サイズ、信頼性、寿命など、さまざまなパラメータが含まれます。 これらの用途の多様なニーズに対応するため、さまざまなスキャン技術が開発されています。 

ほとんどの用途では、3つの走査技術(ガルバノスキャナー、ポリゴンミラー、音響光学変調器)のいずれかが採用されています。 それぞれの仕組みと、運用および実用上の特徴を説明します。

 

ガルバノスキャナー

ガルバノスキャナーは、自由に回転できるシャフトに取り付けられたミラーで構成されています。 また、シャフトには磁石が取り付けられています。 シャフトはコイルの中に吊り下げられており、コイルに電気を流すとシャフト(およびミラー)が回転します。

作業の性質に応じて、ガルバノスキャナーは多くの場合、ペアで使用されます。 具体的には、この場合、スキャン方向が互いに直角になるように取り付けられます。 これにより、レーザビームは平面上のどのポイントにも到達することができます。 多くの用途では、Fシータレンズのような特殊なスキャン光学系を用いて、最終的な表面にビームを集光します。

ガルバノレーザスキャナー

図1. ガルバノスキャナーは、多くの場合、2Dスキャンパターンを生成するためにペアで使用されます。

ガルバノスキャナーは、その動きをコンピュータで、オンザフライで制御できるため、運用の柔軟性があります。 これらは対で使用され、比較的大きなスキャン角度(通常±20°まで)で2Dベクトルパターンを生成することができます。 大型ミラーと組み合わせて使用することで、大きいビームサイズに対応できます。 これらの特性により、ライトショー、材料のマーキングや溶接、バイオメディカルや眼科イメージング、共焦点顕微鏡、レーザ支援メディカル処置などの用途に最適です。 

 

ポリゴンスキャナー

ポリゴンスキャナーの主な要素は、ポリゴン形状の部品で、そのエッジは鏡のように研磨され、コーティングされています。 このポリゴンミラーをモーター軸に取り付けて、高速で回転させます。 これにより、レーザビームを一方向にすばやく走査することができます。

ガルバノスキャナーと同様、ポリゴンスキャンシステムは多くの場合、特殊なスキャン光学系を使用します。 レーザビームは細い直進経路を通過するだけであるため、これらの光学部品が細長い縞状に加工されることは珍しいことではありません。 これにより、スキャニングシステムのサイズと重量が大幅に削減されます。

ポリゴンレーザスキャナー

図2. ポリゴンスキャナーは、レーザビームを一方向に高速で移動させることができます。

ポリゴンスキャナーは、高速で一方向のスキャンを必要とする用途に適しています。 これらは、大きなスキャン角度(50°以上)で動作することができます。 2次元の対象範囲が必要な場合は、通常、スキャンに対して垂直な方向の何らかの部品の動きと組み合わせて、ラスターパターンを生成します。 これらの特性は、レーザプリンターやLIDAR、大面積の表面処理や薄膜のパターン形成など、特定の高速材料加工用途に最適です。

 

音響光学変調器

音響光学(AO)変調器は、側面に圧電振動子を接着した透明な材料のブロックで構成されています。 圧電振動子は、無線周波数で駆動すると、結晶の中に音波(圧力/密度)を発生させます。 これにより、材料の屈折率が周期的に変化し、ブラッグ回折格子のような働きをする空間変化が生じます。 この回析格子は、周期に依存する量だけ入力されたレーザビームを偏向させます。 そこで、入力信号の周波数を変化させると、ビームの偏向角度が変化します。

音響光学変調器レーザスキャナー

図3. 音響光学変調器は、回折を利用してレーザビームを走査するもので、可動部品がありません。

可動機械部品がない(つまり慣性がない)ため、音響光学変調器は他の技術よりもはるかに高いスキャン速度(MHz幅に相当)を達成することができます。 加えて、操作範囲内の、あるポイントから別のポイントにすばやくジャンプする「ランダムアクセス」走査ができます。 ただし、ビームを偏向させることができるのは、せいぜい数度という非常に限られた角度範囲に制限されます。 しかも、開口部のサイズは2.5 mm未満しかありません。 そのため、レーザの冷却、レーザピンセット、顕微鏡やメディカルイメージング、一部のグラフィックアートなどの特殊な用途に最も役に立ちます。

これら3種類のスキャナーのほかにも、特殊な用途に対応した技術が数多くあります。 これらすべてが、レーザスキャニングの多様な用途を支えています。

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