DCIアプリケーションの簡素化につながる、Coherent のPOLSの5つのメリット

Coherent のPOLSがどのようにして、占有面積を大幅に縮小し、消費電力を95%削減し、コストを20%削減して、データセンターを変革するかを解説します。

2025年1月31日 Coherent

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400G-ZR や最新の800G-ZRオプティクスによってもたらされる、DCI帯域幅の急速な拡大とIPoWDMの導入を考えると、従来のラックマウント型の光回線システムは多くのケースで、もはや最適なソリューションではありません。

Coherent はそうした課題を解決するために、プラグイン可能光回線システム(Pluggable Optical Line System:POLS)を開発しました。増幅機能をトランシーバーのフォームファクタに組込み、プラグアンドプレイ機能を搭載するPOLSは、データセンター相互接続(data center interconnect:DCI)の規模を拡張するための画期的なソリューションです。本稿では、当社がPOLSによって、どのようにして状況を一変させようとしているのかを説明します。

 

1. ラインカードをプラガブルトランシーバーのフォームファクタに転換して、スペース効率を最適化する

従来の光増幅回線システムは、増幅、多重化、逆多重化のために複数のユニットが必要で、かなりのラックスペースを占有していました。Coherent のPOLS技術は、トランシーバーのフォームファクタで提供されるため、ルーターやスイッチの標準ソケットに直接差し込むことができます。POLS は、OSFP(Octal Small Form-factor Pluggable)QSFP(Quad Small Form-factor Pluggable)のフォームファクタで提供されており、当社の800G-ZR/ZR+ オプティクスと組合わせた場合で、最大8つのDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重)波長を処理し、6.4 Tbpsの双方向トラフィックを120 kmの距離にわたってサポートします。このようにサイズが縮小されることで、貴重なラックスペースが解放され、大規模なインフラを追加することなく、より容易にデータセンターを拡張することができるようになります。

3D Robot Vision

上の図は、複数の機能を単一のプラグイン可能なフォームファクタのモジュールに集積する当社の革新的な技術によって、データセンターのインフラが簡素化されることを表しています。POLSは、ラックマウント型の回線システム全体をコンパクトなプラガブルモジュールに集約することで、データセンターで必要なスペースを大幅に縮小します。

 

2. プラグアンドプレイ式のシンプルな操作で、デプロイを容易にする

従来のOLSシステムのデプロイ(配備)には、アーキテクチャレベルでの入念な計画が必要で、DCIインフラを構築した後に、増幅器ラインカードを拡張するのは難しい可能性があります。当社のPOLS技術はこのニーズに対応しており、データセンターのルーターやスイッチの空いているスロットにPOLSを直接差し込むことによって、追加の増幅要件に対応できます。POLSは、標準的なCMISインターフェースとの互換性を備え、プラグアンドプレイで動作するため、事業者は簡単なセットアップで迅速にモジュールを配備することができます。現場に配備されたPOLSは、自動ゲイン制御を使用して変化するネットワーク条件に自動的に適応するため、手動介入することなく一貫した性能が確保されます。このシンプルな操作性により、精緻な事前計画が不要になるだけでなく、配備の複雑さが軽減されるため、データセンターの職員は、より優先度の高い業務に集中することができます。

 

3. エネルギー効率を改善して、運用コストを削減する

需要の増加に対応するために規模を拡大していく中で、エネルギー消費量は、データセンターにおける大きな懸念事項です。従来の光回線システムは、消費電力が高いことで知られており、それによって運用コストが押し上げられる可能性があります。Coherent のPOLS技術は、消費電力が従来のOLSシステムよりも95%低く、大幅な省電力化を実現するとともに、環境への影響も低減します。この効率性によってデータセンターは、エネルギーコストを過度に増加させることなく、増大する容量需要に対応することができるため、POLSは、消費電力の削減とサステナビリティの向上を目指す事業者にとって、理想的なソリューションです。

 

当社のPOLS技術によるコスト削減

当社のPOLS技術は、複数の機能を1つのプラガブルモジュールに集積し、装置やインフラを追加する必要をなくすことにより、コストを大幅に削減します。この統合は、以下のメリットをもたらします。

  • コストは1/5:POLSは、独立したマルチプレクサとデマルチプレクサを含む従来のラインカードよりも費用対効果に優れたソリューションです。

  • 占有面積の縮小:POLSは、複数のラックユニットを不要にして、データセンターの貴重なスペースを解放します。

  • 消費電力の削減:POLSは、消費電力の3分の2を削減することで、運用コストを大きく低減します。

  • シンプルな操作:POLSは、プラグアンドプレイで動作するため、DCIシステムの設計、配備、保守の複雑さを軽減し、コストを削減します。

 

4. シームレスなスケーラビリティで、需要の増加に対応する

AIデータ需要が増加し続ける中で、データセンター相互接続には、運用しながら拡張することのできる、スケーラブルなソリューションが必要です。当社のPOLS技術は、「Pay as You Grow」のモデルを提供しており、事業者が必要に応じて追加のモジュールを配備することによって、容量の追加や伝送距離の延長を簡単に行えるようになっています。このスケーラビリティにより、既存のインフラを全面的に改修することなく、帯域幅要件の増加に合わせて、データセンター相互接続を確実に拡張していくことができます。大がかりな事前投資や計画を行うことなく拡張できることは、急速な成長が予想されるデータセンターにとって、将来に備える力になります。

 

5. 高度な増幅とリアルタイムの監視によって、ネットワークの信頼性を強化する

高い信頼性を維持することは、データセンターにおいて非常に重要なことです。当社のPOLS技術は、高度なネットワーク増幅を行うだけでなく、サードパーティの性能監視ツールとの柔軟なリアルタイム統合も可能です。モジュールには、ポンプとフォトダイオードのモニターが温度センサーとともに内蔵されており、光リンクの健全性に関するリアルタイムの知見を得ることができます。このプロアクティブな監視により、データセンター事業者は、深刻な問題に発展する前に潜在的な問題を特定して対処することができるため、コストのかかるダウンタイムのリスクが低下します。リアルタイムの知見によって事業者は、データ需要が増加しても、信頼性と高いパフォーマンスを維持した状態でシステムを確実に稼働させることができます。

 

構想から実現まで:協調的なイノベーション

この技術のアイデアは、標準的なプラガブル光モジュールの小さなフォームファクタに収まる、コンパクトで電力効率の高い光増幅器を開発しようという、Coherent のCMOであるSanjai Parthasarathi博士と、Arista Networksのディスティングイッシュト・エンジニアであるHacene Chaouch博士の間の会話から生まれました。Arvi GurusamiとYajun Wang博士率いる当社のエンジニアリングチームは、マイクロポンプレーザと小型パッシブエルビウム添加ファイバー増幅に関する当社の専門技術を活用し、Aristaと緊密に協力することにより、この画期的なソリューションを実現し、小型プラグイン可能光回線システムという新たな市場カテゴリを生み出しました。

当社の取り組みが見過ごされるはずはありませんでした。Coherent のPOLS技術は、 Lightwave Innovation Reviewsでプラガブルオプティクスのメリットをトランシーバー以外に拡大する革新的なアプローチが評価され、賞を受賞しました。. この受賞は、データセンター相互接続に大変革をもたらす当社の技術のインパクトを浮き彫りにするものです。

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画像はArista Networks提供。許可を得て転載。

 

オープンなソリューションによって分散型ネットワークの未来を推進する

複数のベンダーからシステムが調達される分散型ネットワークの導入拡大へと業界が進行するにつれて、柔軟性が高く、ベンダーの選択肢を広げることのできる、オープンで相互運用可能なソリューションが求められるようになります。業界規格に準拠し、相互運用性を約束する当社のPOLS技術は、分散型ネットワークに向けたこのトレンドを完璧に補完します。この技術を利用することでデータセンター事業者は、さまざまなベンダーから高い水準のモジュールやシステムを選択して、より柔軟性、適応性、費用対効果に優れたDCIインフラを構築することができます。

 

データセンター相互接続の大変革

Coherent のPOLS技術は、データセンターインフラを簡素化する、プラガブルトランシーバーのフォームファクタに収められたエネルギー効率と拡張性に優れたソリューションを提供することにより、データセンター相互接続を変革します。OLSの基本機能をプラグアンドプレイ式のモジュールに組み込んだPOLSを採用することによってデータセンターは、高い性能と信頼性を維持しつつ、容量をいつでも拡張し、運用上の複雑さを軽減し、エネルギー消費量を抑えることができます。分散型ネットワークと将来の帯域幅増加に適応する能力を備えたPOLSは、先進的なデータセンターに対する将来を見据えたソリューションです。

データセンター相互接続を変革する準備はできたでしょうか。効率的に拡張し、コストを削減し、競合他社の一歩先を行くために、当社にどのようなお手伝いができるか、今すぐお問い合わせください。待っている暇はありません。インフラの将来性を今すぐ確保しましょう。