冷却は今、非常に熱い注目を集めています。
その最も顕著な例が、現代の生活のあらゆる側面を支えるマイクロプロセッサです。チップ上のトランジスタの数は増え続け、それに伴って発生する熱も増大しています。しかも、小型化と高密度化が進んだ最近のデバイスでは、この熱がかつてよりはるかに小さい面積に集中します。
ハイパフォーマンスコンピューティングは、導体と絶縁体の連携を促して電流を制御する半導体から始まり、現代のエレクトロニクス全般の基礎をなしています。
その一方で、パフォーマンス向上への要求は高まり続け、高い電力損失による熱的な影響が生じています。電力損失の管理は、スピードや効率、信頼性を左右する重要な要素です。つまり、パフォーマンスを最適化し、これらのコンポーネントの耐用年数を延ばすには、堅牢な熱管理ソリューションの存在が欠かせません。
当社がこれを「熱管理」と呼ぶのは、システムを動作温度範囲内に維持する各種ツールやテクノロジーを想定してのことであり、多くの用途において、単純に温度を下げるだけではない複雑な要件が課されるためです。
あらゆる分野での熱対策
革新的な熱管理技術へのニーズは、何もマイクロエレクトロニクスに限ったことではなく、非常に広い範囲に及んでいます。
有効な熱管理の欠如による物理的影響を受けない製品カテゴリなど、ほとんどありません。運輸、半導体製造、情報技術、ライフサイエンス、コンシューマーエレクトロニクスなどの分野は、熱管理への革新的なアプローチにますます依拠しつつあります。これらの市場間における要件の唯一の重要な違いは、電力損失の大きさです。
バッテリー電気自動車(BEV)のトラクションインバーターは、その好例として注目に値します。この種のインバーターは、バッテリーから供給されるDC電力を、車両を駆動するトラクションモーターに必要な3相AC電力へと変換します。これらのインバーターとモーターは高効率を念頭に置いて設計されており、バッテリーから得られた電力の90%以上が車両を動かすための機械エネルギーに変換されます。ここで失われたエネルギーは、単に消滅するのではなく、熱に変わります。
BEVのパワーインバーターは、現代の熱管理が抱える規模の問題の代表例です。インバーターとモーターは1時間あたり数キロワット(kWh)を消費するため、優れた熱管理によってこれが1桁でも増加すれば、短期的および長期的に大きな節約につながります。これは、航続時間やエンジニアリングの簡素化など、いくつかの点で競争上の優位性をもたらすほか、部品表コストの削減にもつながります。
また、もう1つの用途として、半導体プロセス装置(マイクロエレクトロニクスデバイスの製造に使用)があります。これは、正確かつ信頼性が高く再現性のある製造プロセスを維持する上で必要なツールです。製造されるデバイスの品質と一貫性を確保し、欠陥や歩留まりの損失を低減するには、精密な温度制御が不可欠なのです。
熱管理を牽引
Coherentは、革新的な加工材料と熱管理用サブシステムの世界的リーダーであり、以下を含む広範なポートフォリオを提供しています。
反応結合Si/SiC材料
RB-SiCは、高耐熱性、低熱膨張係数(CTE)、化学的不活性、高強度、高強度対重量比といった物理的特性のユニークな組み合わせを提供します。
当社は、高純度と耐熱性が要求される用途向けに、ほぼすべてのサイズや形状のRB-SiCコンポーネントを製造しており、これらは、高平坦度、大きな浸透深さ、内部冷却チャンネルなど、必要に応じてカスタマイズできます。
用途:半導体製造、電気自動車(EV)、ライフサイエンス装置組込み。
AI/SiC金属マトリックス複合材料(MMC)
AI/SiC金属マトリックス複合材料(MMC)は、高い比剛性と高い熱安定性を併せ持つユニークな材料です。
当社のさまざまな複合材料は、2 m x 2 mを超える大きさの構造物へと鋳造できます。
用途:半導体製造、電気自動車(EV)、ライフサイエンス装置組込み。
CVD DIAMOND
ダイヤモンドは、あらゆる材料の中で最も高い熱伝導率に加え、並外れた硬度と熱衝撃に対する高い耐性を備えています。
当社は、ダイヤモンド成長(マイクロ波プラズマCVD)、レーザ切断、ラッピング、研磨、研削、レーザマーキング、およびコーティングを扱っており、最大直径145 mm、厚さ2 mmのCVD DIAMOND材料を供給できるほか、2200 W/m-Kを超える熱伝導率を達成できます。
用途:データ通信/電気通信、半導体製造、ライフサイエンス装置組込み。
単結晶SiC
従来のSiのSiCベースのエレクトロニクスの主な利点として、スイッチング損失の低減や、電力密度の増加、放熱効果の改善、バンド幅性能の向上が挙げられます。
当社は、最大直径200 mmの低欠陥6H(半絶縁性)および4H(導電性)SiCカーバイドウエハを大量生産できます。
用途:データ通信/電気通信、半導体製造、電気自動車(EV)、ライフサイエンス装置組込み。
サーモエレクトリッククーラー(TEC)
TECは、固体冷蔵庫であり、可動部品なしでの能動冷却と高い動作信頼性という利点を備えています。
CoherentのTECは、シンプルな一段式冷却機から包括的なチラーサブシステムまで多岐にわたります。
用途:データ通信/電気通信、電気自動車(EV)、ライフサイエンス装置組込み。
当社は、これらの広範かつ多様な能力を生かし、お客様固有の用途のパフォーマンスおよびコスト要件に合った理想的な熱管理ソリューションを効果的に提供できます。
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