お客様事例
自動レーザマーキングによる製造の柔軟性の向上
歯科用機器メーカーのNichrominox社は、Coherent CombiLineレーザマーカーを複数台使用することで、多様なバッチ部品の効率的な加工方法を可能にしています。
課題
Nichrominox社(フランス、リヨン)は、歯科業界向けの多様な金属製品を製造しています。 これには、トレイ、コンテナ、整理ケース、機器ホルダーに加え、リトラクター、バイトトレイ、アーチバーなど、さまざまなアクセサリーが含まれます。
Nichrominox社で生産されるほぼすべてのユニットには何らかのマークが施されています。 これには、社名やロゴなどのシンプルなものやシリアル番号や部品番号などがあります。 しかし、これらのマークは「機器固有識別子」(UDI)でなければならないことが多くなっており、通常はQRコードやDatamatrixコードの形式です。
Nichrominox社のマーキング加工方法には、2つの重要な要件があります。 1つ目の懸案事項はマークの品質と特性です。 マークは、ハイコントラストであり、場合によっては、オートクレーブの繰り返しに耐えられるだけの十分な耐久性がある必要があります。 さらに、マークの解像度はわずか数ミリのサイズで複製した場合でも、読み取り可能なQRコードを生成する程度に十分高い必要があります。
Nichrominox社の2つ目の懸案事項は製造に関するものです。 特に、柔軟性の高い加工方法が要求されます。 シリアル化を容易にサポートし、すべてのユニットで一意のマークを生成する必要があります。 また、マーキングする部品の種類を迅速に変更することが容易であることも必要です。 これは、Nichrominox社の製造が小規模のバッチで実行され、単一シフト中であっても頻繁に部品交換が行われることに特徴があるからです。
ソリューション
Nichrominox社は、多色マークやかなり大型のマークを作る場合を除き、主にレーザマーキングを使用しています。 レーザマーキングは、前述の要件をすべて満たしています。 特に、大量のデータを含む複雑なマークや、非常に高い解像度でレンダリングする必要がある小さなマークの作成に有効です。
レーザマーキングは、レーザビームを直径数ミクロンから数十ミクロンのスポットに絞り込んで行うため、このようなニーズに応えることができます。 このような小型の「ツール」でマーキングすると、非常にスケールの小さい場合でも、細かいディテールや複雑なパターンを簡単に表現することができます。
レーザマーキングは、Nichrominox社で使用されている材料との互換性も優れています。 ステンレスの場合、レーザを照射すると酸化した薄い層ができ、濃い色になります。 その結果、ハイコントラストのマークが得られます。
発色陽極酸化処理されたアルミニウム部品にマーキングを施す場合、レーザは表面を覆っている色付きの層(通常、厚さ約25 μm)を除去するだけです。 これにより、下にある銀色の、素地のアルミニウムが現われ、マークが生成されます。 マークのコントラストは、使用される染料の色によって異なります。 透明な陽極酸化処理されたアルミニウムにマーキングを施すと、銀色のアルミニウムに薄い白のマークが生成されます。 これは、判読できますが、比較的ローコントラストのマークです。
成果
Nichrominox社は、Coherent CombiLine Seriesのマシンを数台使用して、製造でレーザマーキングを導入しています。 これらは、レーザ光源、走査光学系、レーザビーム伝送光学系、必要なすべての制御エレクトロニクスおよびソフトウェアをスタンドアローンツールに統合したターンキーレーザマーカーです。
Nichrominox社は、自社のCombiLineシステムにCoherent Powerline Fファイバーレーザを採用して構成しています。 これらはナノ秒のパルス幅で動作し、通常20ワットの平均出力を供給します。
また、Nichrominox社は自社の各CombiLineシステムにロボットアーム(サードパーティ製)も組み合わせています。 ロボットアームは、部品を載せたトレイをスタックから取り出し、CombiLineに信号を送ってドアを開けさせ、作業室内の位置決めピンにトレイを置きます。 加工後、再びドアが開くと、ロボットアームがトレイを取り出し、別のスタックに置きます。
「CombiLineは、私たちが求める性能とマーク品質を確実に提供しています」とNichrominox社のディレクターであるエリック・ルフランク・ルミエール氏は述べています。 「しかし、このシステムから得られる価値の大部分は、その使いやすさに由来しています。 当社は、Coherent Visual Laser Marker(VLM)ソフトウェアを使って、製造ライン内に新しいマークデザインを迅速に適用できます。 また、当社のCombiLineシステムはすべて同じオペレーティングシステムで動作するため、マーキングタスクを定義したら、どのシステム上でもそのタスクを実行することができます。 当社の製造は非常にダイナミックであるため、これは当社にとって大いに価値があります。これにより、当社はどのような要求の変化にも対応することができます。 マーキング作業を行うために、ある特定のマシンが利用できるようになるのを待つ必要はありません」。
「Coherent CombiLineレーザマーカーは優れた結果をもたらし、変化する製造要件に迅速に対応することができます」。
— Nichrominox社ディレクター、エリック・ルフランク・ルミエール氏
図1. レーザにより、ほとんどの金属に耐久性のあるハイコントラストのマークを施すことができます。
図 2. レーザマーキングは極めて柔軟性があり、カスタムマークを施すように容易に構成することができます。
図3. Coherent CombiLineは、完全な自己完結型のレーザマーキングツールです。